*栗色しょこらのタルト*

しかし、失念していたことがありました。
502年にベファイラは成人しますが、
まだこの時点で、奥さんに先立たれた セルジオさんがお元気にしているのです。

同じギタの学舎に通う男の子しか目に入っていなかったので、
「そうだ、セルジオさんも独身だ！十分恋愛対象だ！」
と、ふと気づいてしまったのでした（これはちょっとした衝撃でした）。

御年34才、成人したばかりのベファイラはセルジオさんのお孫さんより年下ですが、
どうしてもまたセルジオさんと恋愛をしてみたい、と思ってしまいました（笑）

先に待っているのが、悲しい結末だとしても。

 「ボクの恋人になってください！」
 「私もセルジオさんのことが好きだったの」

早速いそいそとデートに誘い、晴れて恋人同士になります。
…が、タカヤ×カオリ組のデートのサポートや、その合い間に仕事や訓練をしつつ、ベファイラはとても忙しく過ごしていました。
（同じ時期に何組かカップルはいましたが、タカヤ×カオリ組だけはデートの約束をしてくれないなどなかなかスムーズに行かず、タカヤの魅力を上げるなどいろんなことをしていました）

何と言っても成人１年目です。
早くショルグでも活躍できるようになりたいし、ウルグのランクも上げたいのです。

気づけば、恋人同士になったというのにろくにデートもできていません。
502年25日、タカヤとカオリが無事に結婚し、ほっと一息というところ。
久しぶりに、セルジオさんをデートに誘ってみました。

  「明日デートしようよ」
  「ちょっと用事があるので、また今度」

誘っても断られてしまいます。
どうしたんだろうな、珍しいな、と思っていましたが、特に何もせず、そのままベファイラは家族の待つ家に帰りました。

そして翌26日。

「コークショルグのセルジオ・デイリーが危篤です！」

天使ウィンドウで、ベファイラは恋人の危篤を知ることになりました。
つい先日、母のカレンも亡くなったばかりです。
ベファイラは急いでお見舞いに駆けつけました。

  「具合はどう？」
  「心配かけて　ごめんね」

セルジオさんは誕生日を迎え、35才になっていました。
奥さんに先立たれて余命が半分になっているので、いつこんな日が来てもおかしくありませんでした。

ただ、彼の恋人でいられるだけで幸せでした。
セルジオさんがたまに会いに来て声をかけてくれる。
それだけで嬉しかったのです。

NPCのデートのサポートも、仕事や訓練も、次の年になってからでも遅くはないんだから、もっとセルジオさんとデートを重ねればよかったな、と思いました。
なかなかデートに誘わないベファイラを、セルジオさんはどのように思っていたでしょうか。

でも、危篤になる前日、デートの誘いをすげなく断られたようにも見えるのですが、それがセルジオさんからベファイラへの最後の優しさだったんじゃないかなぁ、と思うのです。
明日になったら、もう自分が待ち合わせ場所に行けないことが分かっているから、恋人をずっと待たせることがないように。

だから敢えて、久しぶりにデートに誘われても断ってくれたのかなぁ…なんて、セルジオさんが大好きな中の人は考えてしまうのです。
（実際のところは、議長であるカレンが亡くなり、カレンを見舞ったときにセルジオさんの友人欄に入ったのかも、と思います。ベファイラが魅力女王に入っていても、ウルグでもショルグでも大活躍している母には勝てません）

翌年、１つ年下の  エイモス君が成人し、彼と結婚するのはもう少し先の話です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました！